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第六回 二人の翠星石!の巻!


真紅達の座っている遙か後ろ、選手控え室のある花道から二人目の翠星石はやってきた

よく見ると、翠星石の様子を見に行くと言っていなくなっていた金糸雀も一緒だった

ジ「す・・・翠星石だよな?でも、お前その格好はどうしたんだ?」

なんと、翠星石は下着姿だったのだ

翠「何者かに気絶させられて・・・金糸雀が起こしてくれたときには、この姿だったです」

翠星石、悔しそうに語る

翠「あのとき、油断さえしていなければぁ〜・・・」

真「・・・とにかく、あなたは本物の翠星石のようね」

ジ「どっどうしてそう言い切れるんだ?こういっちゃあ何だけど、どっちもあやしいぞ?」

翠「な・・・なにをいいやがるかこのチビ人間!この私が本物に決まってるでしょうが!」

真「・・・眼よ」

ジ「眼?」

真「彼女のオッドアイの眼を見ればすぐ分かるわ。・・・それに対して」

真紅、リング上に立つ偽翠星石の方に目を向ける

真「姿形は確かに翠星石と似ているわ。でも、肝心の眼が見えてないのよ。・・・その、ヘルメットの影に隠れてね!」

ジ「そっそうか・・・だからわざわざヘルメットを」

金「やっぱりこっちが本物の翠星石なのかしらー」

翠星石、ほれ見たことかと言わんばかりに

翠「ほら、チビ人間謝るなら今ですよ。特別に謝罪の言葉を聞いてやってもいいですぅ」

ジ「・・・それじゃあ、あいつはいったい?」

翠「こらぁ!無視するなですぅ!」

ジュンのすねにローキック

ジ「いて!何するんだこの性悪人形!」


真「さあ、名のりなさい!あなたはいったい誰なの?翠星石のふりをしてどうするつもり?」

偽翠「(小声で)ふふふ・・・流石、蒼白き脳細胞を持つ真紅。」

真「え?今なんて?」


ガシッ


水「うふふ・・・さっきは重い一発を頭にありがとう。お返しをしなくちゃねぇ」

水銀燈、いつの間にか復活し、背後から偽翠星石を両腕でがっしりつかんでいる

水「貴方の技のおかげで、レスリングというものが少し分かってきたわぁ〜」

偽翠「・・・そりゃどうも」

水銀燈、偽翠星石を抱え込みコーナーのポストに上る

水「この子の正体・・・私がさらしてあげるわぁ!」


ジ「あ・・・あんな高いところから技を出すのか?」


水「水銀燈スープレックス!!」


ドゴンッ

水銀燈の通常より落差のあるスープレックスにより、勢いよくヘルメットがはずれる


真「・・・まあ、普通のスープレックスね」

巴「・・・フォームは特別美しくありませんでした」

ジ(水銀燈レスリング初心者なのに厳しいんだな・・・)


水銀燈、偽翠星石の髪をつかんで・・・

水「さあ、早速お目々を見せてもらおうかしら・・・な!」

ドサッ

水銀燈、驚いて手を離す

真「どうしたの?水銀燈!」

水「・・・こ・・・この子もオッドアイ。しかも・・・赤色と緑色よ!」

一同「な・・・なんですって!?」


巴「偽物だと思った、リング上にいる翠星石もまたオッドアイだったー!いったいどうなっているのかーーーっ!」


第七回 あり得ない正体!?の巻!


真「そんな・・・まさか、オッドアイまで偽装しているなんて・・・」

ジ「・・・これでまたどっちが本物か分からなくなったな」

一同、じ〜〜〜っと下着姿の翠星石を見る

翠「な・・・何言ってやがるですか!私が本当の翠星石ですぅ!」


水(左右反対のオッドアイ!?)

水「・・・真紅たしかにそっちの翠星石は本物の翠星石よ」


翠「!?」

翠星石、意外な人物からかばってもらいびっくりする

真「じゃあ、今貴方と戦っている方がやはり偽物だというの!?水銀燈」

水「・・・ええ、偽物であり・・・偽物ではないかもしれないわ」

真「いったいどういうこと?はっきりと答えて!」

ジ「なっ何か水銀燈の様子がおかしいな・・・」

金「あれはまるで・・・信じられないようなものでも見たかのようなのかしら」


偽翠「真紅の言うとおりだよ」

一同「!?」

先ほどから口数が減っていた疑惑の翠星石が口を開いた

しかし、さっきまでの口調、声色は変わっていた

偽翠「分かっているんでしょう、水銀燈?答えてあげなよ・・・みんなに」

水「ぐ・・・あり得ないわ・・・貴方は・・・たしかに・・・」


真「水銀燈、いったい何があり得ないというの?貴方は彼女の正体を知っているの?」

翠(水銀燈・・・苦しそうに見えるですぅ)


水「ううっ・・・あり得ない・・・あり得ないわ・・・貴方が・・・蒼星石だなんて!」


一同「そ・・・蒼星石!?」

巴「あーーーっと!今水銀燈の口から明かされた偽翠星石の正体!それはなんと・・・翠星石の双子の妹、蒼星石だったぁー!!」


蒼「クスクス・・・大正解」

バッ

着ていた服とかつらをはずす そして、ニコリと微笑んで

蒼「みんな、久しぶり。ローゼンメイデン第四ドール、蒼星石です」


自分の服をキャッチして

翠「そ・・・そんな、本当に貴方なんですか?蒼星石・・・」

蒼星石、申し訳なさそうに

蒼「ごめんね、翠星石。勝手に服を借りちゃって・・・。できれば、洗って返したかったよ」

真「た・・・たしかに、その青い服装は蒼星石のもの。翠星石に変装できたのも、双子の妹だからたやすかったのね。」

蒼「そうなんだ、真紅。昔からお互いの物まねをして遊んでいたからね。すごく似てたでしょ?クスクス」

金「蒼星石なのかしら・・・ほ・・・本物なのかしら?」

蒼「うん、そうだよ。みんなを驚かしちゃって、ごめんね。」

蒼星石、てへっと舌を出す

真「蒼星石、貴方は何故・・・」

蒼「分かってるよ、みんなが何を一番僕に聞きたいのか・・・でも、その前に一つ僕から聞きたいことがあるんだ。・・・水銀燈に」

"水銀燈"という名前を言ったとたん、蒼星石の表情が変わった

蒼「ひどいなぁ・・・水銀燈。なんであり得ないなんて酷いこと言うんだい?何故?」

水「え?そっそれは・・・」

さっきまでのさわやかな表情な蒼星石はなかった ただ無表情に・・・水銀燈を問い詰めていく

蒼「もう一度聞くよ?なぜ、僕がここにいることがあり得ないんだい?」

真「・・・それは」

蒼「黙って!真紅」

突然の大声に一同はびっくりした いつも静かだった蒼星石がどなったのだからなおさらだ

蒼「・・・怒鳴ったりしてごめん。でも、僕は水銀燈に聞いているんだ。・・・ねえ?水銀燈・・・何でかな?」

先ほどまでずっと困ったような素振りを見せていた水銀燈 しかし、突然笑いだし

水「忘れちゃったのぉー?蒼星石ぃ?」

蒼「・・・」

翠「やっやめるですぅ!水銀燈!」

水「・・・ふふふ!それはぁ・・・この私が!この私が貴方のローザミスティカを奪ったからよぉ!!」


その罪の告白は、なんとも悲しげな叫びに聞こえた

また、殺した相手に自分が殺しましたと告白するようなこのシチュエーションは・・・とてつもなく皮肉な出来事だった


翠(水銀燈は・・・言いたくなかった 思い出したくなかった 深く、反省していた ただ、水銀燈の性格から素直になれなかっただけ それなのに、私は・・・)

翠星石、水銀燈に言い放った「お前が蒼星石にやった仕打ち、許したわけではないですよ!」という台詞を回想する


水銀燈の叫びから、長い沈黙が訪れた


第八回  返してよ・・・!!の巻


この重い沈黙を破ったのは、やはり蒼星石の答えだった

蒼「・・・そうだったね。君が・・・僕のローザミスティカを奪ったんだったよね」

水「そうよぉ・・・だったら何かしら?」

蒼「?」

水「貴方は、奪われたローザミスティカを取り戻すため、この戦いに参加した!自分を動かぬ人形にした私に復讐するため!!」

水銀燈、蒼星石の口から言われて欲しくないのか、自分から蒼星石の目的を語る

しかし、意外にも蒼星石の言葉は違っていた

蒼「違うよ・・・水銀燈」

そうったときには。すでに蒼星石の顔はいつもの優しそうな顔に戻っていた

水「え?」

蒼「僕も一度は考えたよ・・・・"復讐"を。だけど、翠星石が教えてくれたんだ復讐なんて嫌なことだって・・・ね?翠星石」


翠「そ・・・蒼星石ぃ!」

翠星石は、あまりの喜びで涙声になっていた


蒼「クスクス、だから復讐なんてする気・・・起こらないよ」

蒼星石の言葉に、一同は心を強く打たれた

ジ「なんて寛大な・・・」

金「蒼星石らしいのかしら〜」

真「すばらしい心の持ち主だわ・・・」

次第に自然と拍手が蒼星石におくられた


水「蒼星石、貴方・・・」

水(・・・謝るなら今ね)

水「そ・・・そのぅ」

蒼「ん?ああ、忘れてた」

てへっと舌を出すと、なんと右手を水銀燈の前に差し出した

一同「!?」

蒼星石、にこりとした表情を崩さず、右手を前に差し出している

翠「まさか、握手までしてあげるとは・・・なんて・・・なんていいやつですかぁー!」

金「うう、カナ感動かしら〜」

ジ「蒼星石のやつ、全てを許すつもりなんだな」

真「ええ・・・そう願いたいわ」


水(ここまで先を越されてしまうとはね・・・我ながら情けないわ)

水銀燈、その手に答えるため手を前に差しだそうとする

誰もが握手するのだと予想していたその瞬間・・・

蒼星石、にこりとした顔で水銀燈に言う

蒼「さあ、僕のローザミスティカ・・・返してよ」


第九回  当然の答え!の巻


誰もが耳を疑った 蒼星石は握手を求めていると

誰もがそう思っていたからだ・・・

だが結果は違っていた

只、自分のローザミスティカを返してもらうため

手を差し出しただけだったのだ

よく考えれば分かることだったかもしれない


蒼「僕から奪ったローザミスティカ・・・返してくれないかな?」

なおも、蒼星石の顔はにこりと微笑んでいるように見えた

水「・・・無いわ」

蒼「無い?」

水「・・・」

蒼「どういうことかな?」

蒼星石の表情がいつの間にか無表情へと変わっていた


真「・・・その質問には、私が答えさせてもらうわ」

見ていられないのか、真紅が口をはさむ

真「あのアリスゲームの後、勝者は誰も出なかった。そして、薔薇水晶にやられた子達は、またローザミスティカを一人一つずつ与えられて復活したの・・・。」

あのアリスゲームを思い出しながら、真紅は語る

真「でも、貴方と雛莓のローザミスティカだけは何処かに行ってしまった・・・。分からないのよ・・・本当に。」


蒼「そう・・・やっぱり、そうなんだ」


真「え?」

まるで、分かってましたかのような言い方に真紅は戸惑う

蒼「そういえば、僕が何故動けるのか・・・話してなかったね」

一同「!?」

その質問は、みんなが一番聞きたい謎だった

水銀燈にローザミスティカを奪われた蒼星石

昨日まで、たしかに鞄の中で眠っていたのだ

蒼「その理由は簡単・・・僕は今、ローザミスティカをある子から借りているのさ」

真「ローザミスティカを・・・」

水「借りている?」

金「い・・・いったい誰から?」

蒼「その子の名前は・・・」


?「はぁ〜い!ちょっと待ったぁー!」

突然響き渡る高い声

一同「!?」

?「だめだめ、自己紹介は自分でやるものでしてよ?蒼星石お姉様」

蒼「・・・そう?じゃあ、後は任すよ」

雪「ばごあ、ばごあ・・・初めまして私はローゼンメイデン第七ドール・・・雪華綺晶です♪」




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