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第十六回 ライバルも負けじと技完成!の巻


金「く・・・動け・・・ない」

金糸雀、必死に技から逃れようとするがびくともしない


翠「そもそもキン肉バスターは、首、背骨、腰骨、左右の大腿骨の五カ所を一度に粉砕する必殺技・・・さらに真紅のツインテールでの首固定が加わっている・・・逃れられるわけがない!ですぅ」

翠「この真紅バスターという技・・・キン肉バスターの改良系なんかじゃない・・・これはれっきとした真紅のオリジナル必殺技だ――っ!ですぅ」


真「これでゲームオーバーよ!真紅バスターッ!


ズド―――ン!

真紅の着地とともに、金糸雀の首、背骨、腰骨、左右の大腿骨の五カ所にダメージがいく


金「あ・・・・ああ・・・ぐはっ!」

金糸雀、がくっと失神する

真「・・・あら、気絶してしまったの金糸雀?ちゃんと着地の勢いを弱めておいたはずなのだけれど・・・」

そういって、金糸雀をリングの上にゆっくりとおろす

バタンッ

金「う〜〜〜〜」

金糸雀、目を回している

カンカンカーン

○ 真紅 VS ● 金糸雀

1分10秒 真紅バスター


翠「すごいですぅ・・・手加減してもこの威力ですか」

翠(蒼星石の言っていたNIKUグッズの力である可能性があるですね・・・ちょっと探りを入れてみるですぅ)


衣服の曲がりを直している最中の真紅に、翠星石が訪ねる


翠「真紅、まさかキン肉バスターを改良した新技を開発するとは思わなかったですよぉ!」

真紅、満足そうに

真「ふふふ、この真紅バスターさえあれば、薔薇の四天王や薔薇将軍なんて怖くないのだわ♪」

翠「まったくですぅ、いったいどうやって考えついたですか?」

真「え?・・・えっと、それは・・・ふとしたきっかけで・・・」

翠「翠星石も必殺技を考え出したいので、参考までに教えてもらってもいいですか?」

真「そっそれは・・・」

翠「それは?」

ガバッ

金「はれ〜?・・・ここは何処かしら〜?」

真「あら!金糸雀、やっと起きたのね」

翠(後もう少しだったのに・・・)

金「はっ!思い出したのかしらーっ!たしか真紅にぃ・・・」

真「わっわるかったわ金糸雀(汗) お詫びに、貴方たちの必殺技を考え出す手伝いをしてあげるから」


なんとか許してもらった真紅

3人は、来る日のため修行に明け暮れるのであった



その一方・・・

水「うおりゃぁーーーー!」

ミシミシッ

水銀燈の複雑な関節技に、練習用人形の両腕関節をねじ上げる

ギシッギシッ

め「その調子よ、水銀燈!もっと体を後ろに倒しながら相手の両腕に負荷をかけるのよ!」

言われたとおり、人形の両腕に自分の体重をかける

水「そりゃぁあ!」


ブチッ


水「はあ・・・はあ・・・ついに、この技をマスターした・・・」

度重なる練習に疲労し、肩で息をする水銀燈

め「おめでとう、水銀燈。作戦・The Endの技はほぼ完成ね。」

水「ふん、当然よ」

め「でも、安心してはだめよ。実際の相手は抵抗もするし、わずかな隙をついて反撃するかも知れないわ・・・。たとえ、両腕をもいだとしても安心できないわよ。」

水「・・・腕を、もいでも・・・。」

「腕をもぐ」という言葉に反応する水銀燈

水「・・・ふんっ」

水銀燈、冷たいまなざしで両腕をもがれた人形の頭部をつかむ

水「腕をもいでも安心できない・・・確かに貴女の言うとおりだわ!」

水銀燈、そう言って上空に人形を投げる

め「水銀燈?」

その人形の後を追うように、水銀燈も上空に舞い上がる

水「腕をもいでも私は負けた・・・負けてしまった」

水銀燈、逆さ状態で落ちてくる人形の頭を自分の両足はさみ、両腕で人形の両足をつかむ

水「もう二度と油断はしない!腕をもいだ後は・・・こうよッ!」


水「マーキュリー・エッジ!!」


ガシャーン!

人形の頭部は、無惨に粉々になった


め「相手の頭を地面に激突させる拷問技・・・ビッグベン・エッジという技があるけど・・・。」

めぐ、確信をこめて

め「この水銀燈の技は、ビッグベンよりも遙か上空・・・まるで水星ほどの高さから落下してくるような錯覚を見ている者に起こさせるわ!マーキュリー・エッジ・・・紛れもなく、水銀燈の新しい必殺技の一つだわ!」

水「待ってなさい、蒼星石、薔薇将軍!そして・・・真紅!私はもう二度と負けはしない!そして、お父様に認められる最強の少女・・・アリスへとなる!」



各ドール達は、全ての決着をつけるアリスレスリングの日まで猛烈な修行を重ねる

そして、ついにその日がやってきたのだった!


第十七回 約束、そして決戦の日!の巻


3日後、真紅、翠星石、金糸雀の3人のドールとジュン、巴の二人は薔薇水晶に言われた場所に来た


真「この日がついに来てしまったのね・・・謎のドール、薔薇将軍と、お父様の弟子が作ったドール、薔薇水晶との戦いが!」

翠「正直、薔薇将軍っていうけったいな名前を持つドールについて謎が多い上に・・・」

金「何故、薔薇水晶達がそのドールと組んでいるのか分からない・・・」

真「でも、私たちは勝たないといけないのだわ・・・雛莓を救うため、そして薔薇将軍の野望を打ち砕くために!」


この日が来るまで、それぞれのドールは時には個人で・・・時には一緒に修行を重ねていった

彼女らの目だけは、以前よりも力強い光を灯している


ジ「そうだよ、お前らが負けるわけないさ」

巴「がんばって・・・みんな」

真「大丈夫よ…巴、絶対に雛莓を助けだすと約束するわ!」


翠星石、真紅のそんな雛莓に対する思いやりを見て・・・

翠(・・・やっぱり真紅が変だなんて思えないですぅ)


真「どうしたの、翠星石?」

翠「へ?あ、いや、何でもないですぅ。えへへ…」

真「そう?ならいいわ」


シュルシュルシュルシュル!

突然、真紅達の近くから白い薔薇の茨が生えてきた


真「・・・ついに、登場ってわけね」

翠「薔薇将軍のフィールドですか」

金「どんどん茨が洞窟のような形になっていくのかしらー!?」


コツコツ

ハイヒールの音が、茨で出来た洞窟の穴から聞こえてくる


洞窟の穴から現れたのは、薔薇水晶だった


薔「・・・よくきました。さあ、この茨で出来た穴を通ることが出来る勇気があるのならば来なさい」

薔薇水晶、一呼吸おいて

薔「ただし、ローゼンメイデンのドール達だけ・・・人間が入ることは許されません」

ジ「そんな!?一緒について行くぐらい別にいいだろ!」

真「心配しないでジュン、私たちなら大丈夫」

ジ「でも・・・」

薔「・・・そのかわり」

薔薇水晶、一枚の紙切れをジュンに渡す

ジ「ん?なんだこれ・・・www.・・・ってこれ何かのURLか?」

薔「私たちの偉大なる将軍は、そこから『ねっとはいしん』するとおっしゃっていました」

ジ「は・・・ネット配信だと!?」

あまりにも意外な答えに、ジュンは度肝を抜かれる


薔「さて・・・貴方たちの目の前には3つの洞窟があります」

真紅達の前には、確かに薔薇の茨で出来た洞窟が3つあった

薔「左から順番に、『投げ技の洞窟』、『打撃技の洞窟』、『関節技の洞窟』・・・それぞれの洞窟には、名前の技を得意としている私の姉妹が門番として待ちかまえています」

真「・・・前、私たちの邪魔をしたあの3体のドールズ達は貴女の姉妹だったのね?

薔「・・・」

薔薇水晶は、真紅の言葉を無視し話を続ける

薔「貴方たちには一人ひとつ洞窟を選んでもらいます」

翠「・・・別れて行動しなければいけないですね」

金「ちょ・・・ちょっと不安なのかしら」

金糸雀が不安そうな声で言う

真「大丈夫よ、今日までの間ずっと修行に明け暮れていたのよ。努力は嘘をつかないわ」 真紅が金糸雀を勇気づける


薔「・・・それでは、それぞれ一つの洞窟をお選び下さい」

真「分かったわ。そうね・・・『投げ技の洞窟』とやらにするわ」

翠「翠星石は、『打撃技の洞窟』にするですぅ」

金「『関節技の洞窟』に決めたかしら」


?「バゴアッバゴアッ!」

真紅達が自分たちの進む道を選んだとたん、何処からか不気味な笑い声が聞こえた

真「何者!?」

真紅達が周りを見渡しても、その声の主らしき者はいない

そして、その声は真紅達に語りかけた

?「ようこそ我がフィールドへ・・・私が薔薇四天王の首領、薔薇将軍です♪」



第十八回 有利?不利?怪しい取引!!の巻


真紅達がそれぞれの洞窟を選び終わったとき、ついに宿敵、薔薇将軍の声を聞くことが出来た

その声は、金属か何かに反響した声だった 恐らく、鉄仮面のようなものを身につけているのだろう それ故、たとえ一度聞いたことがある声であっても、気づくことは難しい


声だけで姿を見せない黒幕に対し、真紅達は憤りを感じていた

真「貴女が薔薇将軍?それなら姿を現したらどうなの?」

翠「そうですぅ!いつも影から薔薇水晶達を動かしておいて、自分はまだ隠れているつもりですか!」

金「このおくびょーものーっ!」


将「バゴアバゴアッ!・・・これはこれは失礼しました。言われてみれば、貴方たちお客様に対して不愉快な思いをさせてしまいましたね」

表面上はわびていても、内心ではまったく気にしていない・・・そんなことは、真紅達にとってわかりきったことだった


真「言葉だけの謝罪などいらないわ。形で表しなさい!・・・最も、今更どんなに謝られても、雛莓の誘拐を簡単に許すわけにはいかないけど」

将「バゴアバゴア・・・そうですか・・・そんなに第六ドールの妹が大事ですか?第五ドール真紅」

真「・・・」

将「いいでしょう。本来ならば、私たちとの戦いで勝利することが出来たら返そうと思っていましたが・・・」

将「せめてもの詫びとして貴方たちの目の前にある洞窟の何処かに置いておきます・・・四天王の内の一人と一緒にね」

真「・・・一見私たちにとって有利な相談ね」

金「目的の内の一つ、雛莓の奪回をこんなに簡単にこなせるかしら」

翠「でも、なんかひっかかるですねぇ・・・一体何を企んでいるですか!」

真紅達の言うとおり、この話はとても有利な話だった

第一目的である雛莓の奪回さえ出来れば、やむを得なく撤退することも出来るし、何より雛莓を人質にされる心配もない

だからこそ、この提案に何かしら罠があるかも知れないと真紅達は警戒せざるを得なかった

将「とんでもない!言ったでしょう?これは詫び・・・私たちにとって不利にはなっても有利にはなりませんよ」

将「それにご安心を・・・私たちの目的は第六ドール、雛莓の誘拐にあらず。失礼な言い方をすれば、アレはあなた達をおびき寄せる餌にすぎません」

真&翠&金「アレ!?

誰もが今の発言に憤りを感じた

特に翠星石が怒りのこもった声で

翠「ぐぬぬ・・・ゆるさん・・・ゆるさんですぅ!」

と(何故か)薔薇水晶を睨みつけていた

薔「・・・」

ジ(・・・八つ当たりか)


将「クククアハハハ・・・バババゴアバゴア!」

薔薇将軍が、満足そうに笑い出す

将「怒った?怒りました!?それでいいんですよ!もっと・・・もっと憎んで下さい!この私をッ!」


翠「ぐぎぎ・・・」

翠星石、怒りで体が震えている

金「あわわ・・・翠星石がお・・・鬼のようなのかしらッ!」

翠「ええい!今すぐにでもお前の首をっ・・・」

真「落ち着きなさい、翠星石」

翠「うっ・・・真紅」

真「あれぐらいの挑発・・・受け流せてこそ気品あるレディよ」

翠「・・・分かったですぅ」


将(ふんっ余計なことを・・・)

将「アレと呼ばれても仕方がないとは思いませんか?ローゼンメイデンでありながら、ただの人形に落ちぶれているあの様を見て・・・一体何故ああなってしまったのでしょうね、第五ドール?」

真「貴女には関係のないこと。それより、この洞窟のどれかに雛莓がいるのは本当なのね?今更嘘でしたなんて言わせないわよ」

将「バゴアバゴア、その点はご安心を・・・私は嘘をつきませんので。でも・・・」

真「でも?」

将「最初に述べたように、洞窟の奥には私の忠実なる部下、「薔薇の四天王」が一人ずつ待ちかまえています。第六ドールを取り返したいのならば、四天王との戦いは避けられないですよ」


真「ご忠告感謝するわ・・・でも」

そういって翠星石、金糸雀を見る

真「私たち誰一人負けるとは到底思えないわ」

翠「返り討ちにしてやるですぅ!」

金「カナも頑張っちゃうのかしら!」


将「バゴア、バゴア!その自信に満ちあふれた表情が・・・絶望へと変わっていくのですねぇ♪バゴアバゴア、待ってますよ・・・(お姉様方)」

それきり、薔薇将軍の声は聞こえなくなった





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